【歯科】シーラントとは?目的や費用、メリット・デメリットを解説

小児の虫歯対策として、シーラントと呼ばれる処置をすることがあります。シーラントは、歯の溝をあらかじめ樹脂でコーティングし、汚れや細菌が入り込むのを防ぐことで虫歯リスクを抑える効果が期待できます。

「フッ素塗布とは何が違うの?」「どれくらい持つの?」「大人もできる?」といった疑問を解消するため、本記事ではシーラントの基本情報をまとめました。シーラントのメリット・デメリットや費用も解説しているので、虫歯予防について知りたい方はぜひ最後までお読みください。

シーラントとは

シーラント処置の説明イラスト。術前の食べかすが溜まる溝と、術後にシーラントで溝が塞がれて笑顔になる歯の比較

シーラントとは、奥歯の溝(小窩裂溝)を歯科用の材料で埋め、虫歯を予防するための処置です。

奥歯の溝は複雑な形をしており、歯ブラシの毛先が入りにくく、毎日丁寧に磨いても汚れが残ってしまうことがあります。特に、生えたばかりの永久歯は虫歯になりやすく、予防的なケアとしてシーラントが行われることがあります。

シーラントは虫歯を「治す」処置ではなく、虫歯になる前に行う予防のための処置です。そのため、すでに進行している虫歯には適応がありません。

参考:厚生労働省 健康日本21アクション支援システム ~健康づくりサポートネット~「シーラント(予防法)」

シーラントの目的

シーラントの目的は、小窩裂溝(しょうかれっこう)と呼ばれる歯の溝に汚れや細菌が入り込むのを防ぎ、虫歯の発生リスクを下げることです。

奥歯は食べ物をすり潰す役割があるため溝が深く、汚れが蓄積しやすい構造になっています。そこをシーラントで塞ぎ、汚れが溜まるのを防ぎます。

シーラントの材料

シーラントで使用される主な材料は、歯科用レジンと呼ばれるプラスチック樹脂です。現在は光を当てることで短時間で硬化するタイプが一般的で、処置時間が短く、患者様の負担を軽減できる特徴があります。

材料は歯の色に近いものが多く、見た目が目立ちにくい点もメリットです。フッ素を徐々に放出する「フッ素徐放性タイプ」の材料は、溝を塞ぐだけでなく、周囲の歯質を守る効果も期待できます。

材料によって耐久性や持続期間には多少の違いがあるため、処置後も定期検診でシーラントの状態をチェックする必要があります。

フッ素塗布との違い

シーラントと混同されやすい予防処置にフッ素塗布がありますが、両者は目的や効果が異なります。

シーラントは、奥歯の溝を物理的に塞ぐことで汚れや細菌の侵入を防ぐ方法です。対して、フッ素塗布は歯の再石灰化を促すフッ素の作用を利用し、歯質を強化することを目的としています。

どちらも虫歯を予防するための処置ですが、シーラントは歯の溝に汚れが入らないようにすること、フッ素塗布は歯そのものを強くすることで、それぞれアプローチが異なります。

シーラントのメリット

大きく開いた口の中で、デンタルミラーと探針を用いて歯の裏側や噛み合わせを診察する様子

シーラントには次のメリットがあります。

  • 虫歯を予防できる
  • 痛みがほとんどない
  • 将来的に歯を削る量を最小限に抑えられる

それぞれのメリットを詳しく解説します。

虫歯を予防できる

溝が深く、歯ブラシが届きにくい奥歯は虫歯の好発部位です。特に、6歳前後に生えてくる第一大臼歯(いわゆる6歳臼歯)は、生えたばかりで歯質が弱く、虫歯リスクが高いとされています。

シーラントは、この溝を物理的に封鎖することで、細菌や食べかすが入り込むのを防ぎます。小児に対しては、永久歯が生え始めたタイミングでシーラントを勧められることが多いです。

痛みがほとんどない

多くの場合、シーラントは歯を削らずに行うことができ、処置中の痛みもほとんどありません。あくまで予防目的の処置であり、身体的・心理的な負担が少ない点がメリットです。

虫歯が進行してからの治療では、歯を削ったり麻酔が必要になったりすることがあります。小児の場合、恐怖心や痛みから歯科治療=怖いものというイメージを持ってしまうことも多いです。

シーラントは痛みや麻酔の必要がないため、歯科治療に不安を感じやすい子どもでも比較的受けやすいとされています。シーラントをきっかけに歯科治療に慣れることは、治療への抵抗感を減らす入り口として役立つこともあります。

将来的に歯を削る量を最小限に抑えられる

虫歯が重症化すると、虫歯菌に感染した部分を削って除去する必要があります。一度削った歯は元に戻らないため、歯の寿命を考えると可能な限り削らないことが重要です。

シーラントは虫歯になる前に行う処置のため、歯を健康な状態のまま維持できるメリットがあります。歯を削らずに済むことは、歯の寿命を長く保ち、体の健康を守ることにつながります。

シーラントのデメリット

ステンレス製の金属トレイに用意されたデンタルミラーや探針などの歯科治療器具

シーラントには以下のデメリットもあります。

  • とれることがある
  • 定期メンテナンスが必要になる

それぞれの注意点も解説します。

とれることがある

シーラントの効果は永久に続くわけではありません。噛み合わせの力や食習慣、歯ぎしりなどの影響によって、部分的に欠けたり外れたりすることがあります。

シーラントは外れても自覚症状が出ることはほとんどなく、患者様本人(小さなお子様は特に)も気付きにくいデメリットがあります。外れたまま過ごす時間が長くなると、汚れが溜まりやすいので注意が必要です。

定期メンテナンスが必要になる

定期検診では、シーラントがしっかり残っているか・欠けていないか・隙間に虫歯が発生していないかなどを確認します。

シーラントが外れたことに気付かず、メンテナンスを怠ってしまうと虫歯が進行してしまうリスクがあります。人によって定期メンテナンスが手間だと感じてしまうことがあるかもしれません。

シーラントの処置の流れ

歯科医院の診療台に横たわり、ピンクの診察衣を着たスタッフに口の中を検診してもらう女の子

シーラントは痛みや出血の心配がほとんどなく、短時間で行える処置です。通常は以下の流れで進めていきます。

  1. 1.歯のクリーニング

    シーラントを行う歯の表面を専用のブラシなどでクリーニングします。汚れが残っていると材料がうまく接着しないため、汚れや歯垢をしっかり取り除きます。

  2. 2.歯の表面を乾燥させる

    シーラントは水分に弱いため、歯の表面をしっかり乾かすことで接着力を高めます。

  3. 3.エッチング

    歯の表面に専用の薬剤を塗布し、わずかに表面を粗くすることでシーラント材を密着しやすくします。歯を削る処置ではないため、痛みを感じることはほとんどありません。

  4. 4.歯の溝を埋める

    シーラント材を歯の溝に流し込み、隙間ができないよう丁寧に埋めていきます。材料を充填したら、専用のライトを照射して硬化させます。硬化時間は数十秒〜1分程度です。

  5. 5.仕上げ

    噛み合わせに違和感がないか確認し、必要があれば微調整を行います。仕上がりを確認して問題がなければ処置は終了です。

シーラントの費用

歯科の領収明細書や健康保険証の上に置かれた、診療用の探針と水色の歯ブラシ

シーラントには、保険適用で受けられる場合と自費診療になる場合があります。保険適用となるかどうかは、年齢や歯の状態、虫歯リスク、医師の判断などによって決まります。

保険適用となる主な条件は以下の通りです。

  • 子ども(おおむね12歳前後まで)
  • 生えたばかりの永久歯であること
  • 溝が深く、虫歯になりやすいと判断されること
  • 予防処置として必要性が認められること

特に小児の生えたばかりの永久歯に対しては、予防目的で保険適用となるケースが多いです。3割負担の相場は1歯あたり400〜600円程度です。

自費診療の相場は1歯あたり数千円程度とされていますが、詳細は歯科医院に確認しておくと安心です。

シーラントの持続期間

診療台に仰向けになる子どもに対し、歯科医師と歯科衛生士がバキュームなどを用いて治療を行っている様子

一般的に、シーラントは2〜5年ほど持続することが多いとされています。持続期間は噛み合わせや食生活、歯ぎしりの有無などによって個人差があります。

シーラントは永久的な処置ではないため、時間の経過とともに部分的に欠けたり外れたりすることがあります。外れても気付かないことが多いため、定期検診で状態を確認し、必要に応じて再処置を行うことが重要です。

シーラントはこんな人におすすめ

デンタルミラーを使って小さな子どもの口の中を優しく診察する歯科医師の手元
  • 生えたばかりの永久歯がある
  • 奥歯の溝が深い
  • 虫歯リスクが高い・磨き残しが多い
  • 甘いものを好んで食べる習慣がある

生えたばかりの永久歯がある子どもは虫歯リスクが高いため、シーラントは予防的な処置として適しています。

小児以外にも適応があるので、奥歯の溝が深い方や磨き残しが多い方はシーラントによる予防効果が期待できます。甘いものを好んで食べる習慣がある方も虫歯リスクが高いため、シーラントでの虫歯予防がおすすめです。

まとめ

歯ブラシやフロスなどのケア用品と、中央に1つだけ虫歯で悲しむ顔がある5つの歯のキャラクター

シーラントは歯を削らず痛みもほとんどないため、歯科治療が苦手な小さなお子様にも適しています。虫歯リスクが高ければ、大人にも有効な処置です。

「子どもの虫歯を予防したい」「虫歯になる前に対処したい」という方は、歯科医院でシーラントについて相談してみるとよいでしょう。

こじまデンタルクリニックでは、お子様の歯の状態やリスクに応じてオーダーメイドの予防プログラムを提案しています。予防歯科に関心がある方は、お気軽にお問い合わせください。

監修者情報

こじまデンタルクリニック 院長

小島 好博

口腔外科出身の経験を活かし、乳児からご高齢の方まで幅広い世代のお口の健康をサポートしています。歯科用CT・マイクロスコープなどの先端設備を導入し、患者様一人ひとりのお話を丁寧にお聞きしたうえで、最適な治療計画をご提案することを大切にしています。

経歴

  • 2010年:藤田保健衛生大学病院(現:藤田医科大学)臨床研修歯科医師
  • 2012年:藤田保健衛生大学病院(現:藤田医科大学)歯科口腔外科 研究生
  • 2012年:成田記念病院歯科口腔外科 常勤勤務
  • 2014年:藤田保健衛生大学病院(現:藤田医科大学)歯科口腔外科 客員助教
  • 2016年:成田記念病院歯科口腔外科 医長
  • 2018年:こじまデンタルクリニック 開業
  • 2022年:医療法人つむぐ設立

資格

  • ・日本口腔外科学会 認定医
  • ・日本歯科麻酔学会 認定医

所属学会

  • ・日本口腔科学会
  • ・日本有病者歯科医療学会
  • ・日本睡眠歯科学会
  • ・日本口腔外科学会
  • ・日本歯科麻酔学会
  • ・障害者歯科学会

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