歯に違和感があるけれど痛くない場合、歯科医院を受診するのは少し腰が重く感じるものです。
しかし、早い段階で虫歯だと気付くことができれば、歯を削ったり失ったりするリスクを避けられ、治療にかかる費用も少なくできます。
この記事では、見た目・痛み・それ以外での虫歯の見分け方や、虫歯に似ている知覚過敏との違い、歯科医に診断を任せる重要性、虫歯を疑う際の注意点を紹介します。
なるべく早く虫歯に気づく方法として、ぜひ参考にしてください。
虫歯の進行段階によってそれぞれどんな見た目なのかを知っておくと、虫歯に気付きやすくなります。
治療法も紹介するため参考にしてください。
初期の虫歯は、白く濁ったり白い斑点が現れたり艶がなくなるなどの見た目の変化がありますが、この時点で自覚症状はほとんどありません。
COでは、虫歯菌が作り出す酸によってエナメル質のカルシウムやリンなどのミネラル分が溶け出す『脱灰(だっかい)』が進んでいます。
口の中では摂食の度に脱灰と『再石灰化』を繰り返していますが、そのバランスが崩れて再石灰化が間に合わなくなると虫歯になるという仕組みです。
COの治療は歯を削らずフッ素を塗り、適切なブラッシングで様子をみます。
エナメル質が虫歯になると、歯の表面に茶色や黒の斑点が見えるようになります。
C1では虫歯部分を削ってプラスチック(レジン)を詰める治療方法がとられますが、麻酔なしでも治療できます。
エナメル質は95%が無機質で水晶と同程度に硬いといわれていますが、生きた細胞が存在しないため、一度失うと再生は不可能です。
しかし程度によっては再石灰化による修復が期待できるため、CO同様にフッ素塗布で様子をみる場合もあります。
象牙質の虫歯は、茶色や黒色に変色したり歯に穴が開いたりするため見た目でも判断しやすくなります。
C2の治療は虫歯部分を削ってC1同様レジンを詰めるか、型取りして金属を詰める場合があり、どちらも麻酔が必要です。
象牙質は柔らかいため、ここで治療せず放置した場合の進行速度はこれまでより早くなります。
虫歯が神経にまで達すると、虫歯の規模が広範囲にわたるため、象牙質の虫歯よりも大きな穴が開いたり、歯の形が崩れたりすることが多くなります。
歯の内部が露出し、著しい変色が見られる場合もあり、明らかに見た目で虫歯の判断ができます。
C3では麻酔を使用し、虫歯に侵された歯や神経を除去して、根管の中を消毒し薬剤をいれ、型取りして被せる根管治療を行います。
虫歯が根管まで達すると、歯根のみが歯茎に埋まっていて、ほとんどの歯がなくなっているような様子が見られます。残った歯根も、残骸のように黒ずんだり変色したりしています。
また、歯だけに留まらず、歯茎にも腫れや出血が見られます。
C4の場合は歯の保存が困難であるため、抜歯による感染拡大の予防を行いますが、ブリッジや部分入れ歯・インプラントなど、口腔内の機能回復治療が必要です。
歯が痛いと思っても、見た目で分からない場合「虫歯じゃないかも」と思って様子を見る人も少なくありません。
しかし虫歯は早期発見が重要であるため、痛みでの見分け方も知っておきましょう。
「歯がしみる」とは、歯の内部にある神経に刺激が伝わっているということです。
歯の白い層はエナメル質といい、歯に対する刺激を内部にある神経に伝えないようにする役割があります。
エナメル質の下の象牙質は細いチューブを寄せ集めたような構造をしていて、チューブには神経からくる細い神経組織が通っています。
そのため、エナメル質が虫歯になって象牙質が露わになるということは、神経が露わになるようなものです。
熱いもの・冷たいもの・甘いものや辛いもの・酸っぱいものは全て刺激となり、象牙質がむき出しだとその刺激が神経に伝わってしまいます。
食べたものや飲んだものがしみるようであれば、エナメル質の虫歯(C1)や象牙質の虫歯(C2)の可能性が考えられます。
また、C1ならしみる程度で済んでいた刺激も、C2以降では痛みを伴うことが多くなります。
歯と歯の間や奥歯の向こうにあって虫歯が見つけられない場合でも、一時的に痛みがあるようなら象牙質の虫歯があると考えられます。
象牙質に虫歯があると、食事後30分程度経った頃に虫歯菌が酸を発生させたり、冷たいものなど外部の刺激があったりした場合など、さまざまなきっかけで痛み始めます。
虫歯は痛みに波が出ることがありますが、痛みが治まっても自然治癒はしないため治療が必要です。
ズキズキとした痛みが持続する場合は神経に虫歯が達している可能性があります。
見た目でわかる場合もありますが、外側から全く分からない場合や、治療後の詰め物のすき間の虫歯のため外側から見えない場合など、見分けがつかないケースもあります。
持続する歯痛を放置すると次の段階に進んでしまい、神経が死んでしまう可能性があるため、早めの治療が必要です。
根管まで虫歯が進行した場合は見分けがつかないということはまずありませんが、激しい痛みが続いたあと一時的に痛みが引いた場合、神経が死んでしまった可能性があります。
痛みは一旦引きますが虫歯が治ったわけではなく、その後は膿が溜まって激しい痛みに再度襲われ、歯茎の化膿や顎の骨が溶けるなど、感染の拡大を招きます。
放置せずに抜歯をする必要があるため、早急に受診しましょう。
見た目や痛み以外でも虫歯を見分ける方法があります。
他の見分け方と合わせて、虫歯を発見するための参考にしてください。
エナメル質は、溶かされると光沢を失いザラザラになります。
エナメル質の虫歯と考えられるため、ザラついている歯があったらよく確認してみましょう。
白く濁っていたり、茶色に変色していたりしたら、削る治療が必要かもしれません。また、この時点では麻酔が必要ないため、痛い思いをせずに治療を済ませられます。
食べ物が挟まりやすくなった場合、歯と歯の間の見えないところが虫歯になっている可能性があります。
歯間に虫歯ができて穴が開いたり、歯の表面がザラザラしていたりする場合、食べ物が引っかかりやすくなります。
ザラザラしている場合はエナメル質の虫歯ですが、穴が開いている場合はそれ以上進行している場合があります。
穴が開いている場合はそこにどんどん食べかすが入り込み、虫歯を悪化させる原因となるため、一度受診をおすすめします。
デンタルフロスが切れたり引っかかったりする時も、食べ物が挟まりやすくなった時と同様に、普段見えづらい歯間に虫歯ができている可能性があります。
虫歯によって開いた穴で切れたり、表面がザラザラしているためフロスが引っかかったりします。
虫歯の見分け方はもとより、普段からデンタルフロスを使用する習慣があると虫歯の早期発見につなげられるでしょう。
見えづらい歯間の虫歯の穴に食べ物が詰まるようになると、細菌が繁殖して口臭の原因になることがあります。
また、歯ブラシが入りづらいため、詰まったものを取り除くことも難しくなり、虫歯がさらに悪化する要因となります。
「歯が痛い」という自覚症状から虫歯との見分けがつきにくい知覚過敏には、痛みがすぐに消える・歯を叩いても痛みがない・歯根が露出しているなどの特徴があります。
知覚過敏は、強すぎるブラッシングや歯ぎしり・食いしばりなどによるエナメル質のすり減りが原因で痛みを感じる症状です。
歯茎が下がって知覚過敏を起こしている・歯がひび割れているという場合は、見た目でも判断できます。
知覚過敏は放置すると虫歯と同様に進行し生活に支障をきたすようになるため、早めに歯科医院を受診し治療を始めた方がいいでしょう。
虫歯かどうかの見分け方を紹介してきましたが、最終的な見分けには歯科医師でなければ難しい理由があります。
ここでは、虫歯の見分けを歯科医院に任せた方がいい理由を紹介します。
虫歯ではないのに歯が痛む場合は、歯科医師でなければ判断が難しいでしょう。
歯の痛みには歯が原因ではない『非歯原性歯痛』があります。特徴は以下の通りです。
上記のようなケースでは、歯科医院で詳しく検査し、虫歯かその他の原因があるかを調べる必要があります。
歯科医院では見た目だけでなく、さまざまな検査で多角的に虫歯の診断を行います。
歯科医院で行われる虫歯の検査は以下の通りです。
特にエックス線検査は、日常で見分けることのできない虫歯が発見可能です。
自身で判断しかねる場合でも、歯科医院ではこのような検査によって虫歯の最終判断が行われます。
虫歯を疑った時「治療になったら怖い」「忙しい」「痛くない」など、さまざまな理由で歯科医院の受診を躊躇する人は少なくないですが、受診をすすめるには相当の理由があります。
虫歯かな?と思った時に特に考えて欲しい注意点を紹介します。
虫歯は痛みの有無や強弱を感じるかどうかではなく、早く発見することがとても重要であるため、違和感を覚えたら速やかに歯科医院を受診しましょう。
虫歯は進行する感染症で、歯を大きく削った部分は再生しません。虫歯によって失った永久歯は二度と生え変わらないため、早期発見には大きな意味があります。
虫歯を放置し続ければ、最終的には抜歯しか選択肢がなくなってしまいます。
違和感のないうちなら、ほとんど痛みなく治療できることも少なくありません。早期発見のチャンスを逃さないようにしましょう。
虫歯菌は歯だけではなく顎まで達し、血流に侵入すると体内に回り、心筋梗塞や脳梗塞を引き起こす可能性もある怖い菌です。
虫歯はCOの状態から進行してしまうと自然治癒することはなく、しっかり歯磨きをすれば進行は遅らせられますが、悪化は進む一方です。
虫歯は悪化するほどに治療が大掛かりになり費用もかさみます。その前に発見できるよう歯の様子をよく観察し、早期発見に努めましょう。
歯が痛いからといって、その全ての原因が虫歯とは限らず、そもそも歯の痛みの原因と歯が関係しない非歯原性歯痛の場合もあり、それらは素人には見分けがつきません。
虫歯ではない可能性がある歯の痛みには以下のような例があります。
歯が原因の歯痛 | 非歯原性歯痛 |
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歯周病・噛み合わせの不具合・顎や耳からくるもの・神経性・原因の分からないものなど理由はさまざまです。
歯の痛みの原因が何であれ、最終的な診断・または他の診療科受診の判断は、歯科医師に任せましょう。
虫歯の見分け方には紹介した通り、見た目・痛み・それ以外と幾通りかの方法があります。
しかし虫歯の見分け方を知るのは「この程度の痛みだとどの辺りの進行段階か」を見分けるためのものではなく「虫歯かもしれないから受診の必要がある」という判断をするためです。
また、紹介した見分け方では早期発見できない虫歯でも、定期的な歯科検診なら発見できます。
名古屋市緑区のこじまデンタルクリニックは、乳幼児やお年寄り、持病を持つ方などどのような患者さんでも通いやすい歯科医院です。
お時間をしっかりとれるよう、24時間受付のWeb予約や、お電話での予約も承っております。
定期的な歯科検診から虫歯治療・入れ歯やインプラントまで、口を体の一部として少しでも長く健康でいられるように、お手伝いをさせていただきます。
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