歯科検診を定期的に受けると虫歯や歯周病を発見できると分かっていても、今現在なんの問題もない場合、わざわざ受ける必要が本当にあるのか疑問に思う人は少なくないでしょう。
歯を失う原因である虫歯や歯周病は、早期発見・早期治療をすることで大事に至らずに済みます。
この記事では、歯科医院の定期検診の頻度やメリット、検診を受けないリスク、詳しい内容や費用について紹介します。
歯科医院の定期検診について理解を深め、効果的に虫歯や歯周病を予防して、歯の健康を保ちましょう。
まずは、歯科検診に適した頻度について紹介します。
歯科検診の頻度は、虫歯菌や歯周病菌の増殖に合わせた3ヶ月に1回がおすすめです。
歯の定期検診ではクリーニングを行い細菌の数を減らすことが可能ですが、虫歯菌や歯周病菌は常在菌のため、ゼロにすることはできません。
その後のセルフケアで細菌が減った状態を維持できればいいですが、ブラッシングでは届かないところがある、仕事が忙しい、疲れで免疫力が落ちることなどで細菌の数が増えてきます。
3ヶ月もすると元の数に戻ってしまうため、3ヶ月に1回を目安に歯科検診を受けましょう。
定期検診の理想の頻度は3ヶ月に1回ですが、歯磨きが苦手な人や口腔内の状況が良くない人はもっと高い頻度がおすすめの場合もあります。
以下のような人は3ヶ月に1回よりも高い頻度がおすすめです。
この中でも、喫煙者と糖尿病の患者さんについて紹介します。
喫煙が虫歯や歯周病につながりやすい理由は以下です。
唾液量が減ると自浄作用が低下するため菌が活発化し、自己修復機能である再石灰化の働きも弱くなります。
喫煙しない人に比べて虫歯や歯周病の罹患率が高くなるため、禁煙できないのであれば1〜2ヶ月に1度程度の高い頻度での定期検診を強くおすすめします。
糖尿病患者さんは以下のような理由で、虫歯や歯周病にかかりやすく、悪化もしやすくなります。
糖尿病は以上のようなさまざまなリスクを抱えているため治療がうまく進まず、歯がボロボロになってしまうケースも少なくありません。
そのような結果を回避するためにも、高い頻度の定期検診が必要です。
乳幼児や永久歯の生え代わり直後のエナメル質が柔らかい年代の場合は、虫歯になると進行が早く、噛み合わせを見守る必要もあるため、3〜4ヵ月に1回の頻度が必要です。
しかし、25歳を過ぎるとエナメル質が完成して硬くなるため虫歯の進行が遅くなる傾向にあり、セルフケアができており、口腔内の状態がいい人は半年に1回の定期検診でもいい場合があります。
ただし、40歳を過ぎると今度は歯周病の予防が必要になってきます。詳しい頻度は歯科検診のときに相談してみましょう。
定期検診と聞くと1年に1回のイメージが多いかもしれませんが、歯科検診の頻度は1年に1回では足りません。
これにはきちんとした理由があり、口腔内の環境は変化しやすく、虫歯や歯周病は1年もあれば重症化してしまうためです。
特に歯周病は自覚に乏しく、定期検診を受けて次回まで安心している間に進行する病気のため、1年に1回では早期発見ができず悪化してしまう可能性があります。
些細な症状や発症のタイミングを逃さないためにも、定期検診の頻度はなるべく推奨されている3ヶ月に1回を保つようにしましょう。
歯科検診は、自覚症状を認めてからではなく、虫歯や歯周病がないうちから定期的に受けておくことが理想です。
歯科検診を受けるメリットについて紹介します。
歯科疾患とは虫歯と歯周病のことですが、どちらも早いうちに予防することで発生率を低くすることが可能です。
例えば歯に穴が開く前の初期虫歯（CO）は、正しい歯磨きとフッ素塗布を行うと、自己修復機能である再石灰化によって治せます。
一方、歯垢を溜めたり免疫力が低下したりするなど一定の条件下で発症する歯周病は、歯科検診での正しいケアによって口腔内の歯周病菌を減らすことで、発症を予防できます。
歯科検診でこのような予防措置を行うことで、歯科疾患の発生や悪化を食い止めることができます。
歯科疾患は早期発見・早期治療を行うことで健康だった頃の生活に戻すことが可能です。
虫歯や歯周病は初期のうちは症状を自覚しにくく、痛みや腫れといったわかりやすい症状がないとなかなか受診につながらないものです。
しかし自覚症状がない時点で発見し治療開始ができれば、つらい治療が必要になる可能性は大きく低下します。
自覚症状がないうちから歯科検診で検査を受けて、痛くない治療につなげましょう。
虫歯も歯周病も、悪化したり放置したりすると全身疾患のきっかけになる可能性があるため、歯科検診で予防できれば大病の予防につながります。
虫歯が重症化すると、繁殖した細菌が血管から入り込んで全身にまわり、敗血症や心内膜炎を引き起こすことがあります。
歯周病は炎症によって発生する毒性物質が歯肉の血管から全身を巡り、糖尿病や心筋梗塞・脳梗塞などさまざまな病気のリスクを高めます。
歯科疾患は重症化したり放置したりすると口の中だけでは終わらない可能性のある病気です。全身の健康のためにも歯科検診で予防しましょう。
虫歯と歯周病を予防するだけでも、生涯医療費の大幅な軽減になります。
歯科検診は健康保険が適用されますが、虫歯や歯周病で歯を失った場合、自由診療でしかできない治療も出てきます。
また、虫歯も歯周病も重症になると、治療に時間もかかり、痛い思いもするでしょう。
治療で消費されるコストや時間、苦痛な思いも3ヶ月に1回の定期検診で避けられるなら、その方がお得です。
ここでは、歯科の定期検診を受けない場合に高まるリスクを紹介します。
虫歯や歯周病が進行すると、どちらも麻酔が必要になり工程も増えるなど、治療が大掛かりになります。
虫歯はエナメル質以降が虫歯になると歯を削って治療しますが、一度削ると再生しないため、元に戻ることはありません。
歯周病は発症すると自覚症状がないまま静かに進行し、痛みに気付くころには手遅れになり歯を失ってしまうこともある恐ろしい病気です。
進行状況によっては治療開始以降の口腔環境やQOLが著しく低下する場合があります。
全身疾患については上述しましたが、紹介した病気の他にも、歯が当たり前に使用できないことによるさまざまな全身への悪影響が現れます。
虫歯や歯周病の影響で、噛み合わせや歯並びが悪くなったり筋肉にかかる力が偏ったりすることで、頭痛や肩こり・腰痛・手足のしびれ・めまい・吐き気・疲労感などが現れる場合があります。
病気だけでなく、普通の生活を送るうえでつらい症状も引き起こします。
歯を失う2大原因は虫歯と歯周病です。加齢ではありません。
歯が抜ける原因で最も多いのは歯周病で、年齢とともに重症化していく傾向があり、高齢になると進行を食い止めるのも難しくなります。
虫歯も、重度になることで歯質が溶かされ、神経が死ぬと歯は弱くなって割れやすくなり、最終的に抜けてしまいます。
そして、進行度合いによっては高齢でなくても歯を失う可能性が十分にある病気です。
歯周病も虫歯も、手遅れになるまで自覚症状がない場合があるため、治療開始が遅くなることが少なくありません。
歯周病を発症する歯周病菌は痛みを脳に伝えないという特徴があるため、痛み出して受診する頃にはかなり症状が進行してしまっているケースがあります。
虫歯は進行がゆっくりだと痛みを感じないまま神経が死ぬことがあり、その後の必要な処置に至らず感染が広がることでやっと痛みを感じることがあります。
「まだ痛くないから大丈夫」と放置すると、手遅れになる可能性が高くなります。
歯科の定期検診では、問診や口腔内チェックの他に、重要な歯の掃除を行います。
歯科検診の内容について詳しく紹介します。
問診では、歯周病や虫歯のリスクがどの程度あるかを確認します。
喫煙者か、糖尿病などの持病はないか、服用している薬や妊娠の有無・生活習慣や歯磨きについてなどが主です。
病状が分かるものやお薬手帳などを持っていくといいでしょう。
続いて、虫歯、治療した歯があれば治療後の状態、歯周ポケットの深さや出血・炎症など歯茎のチェックを行います。
必要があればレントゲンや口腔内スキャナーなどの検査を行います。
多少チクチクするようなチェックもありますが、我慢できない痛みではありません。
正しい歯磨きの指導を受けます。
赤い液を使用した磨き残しのチェックは、普段、家庭で意外ときちんと磨けていないことを知るいい機会といえるでしょう。
他にも正しい磨き方の指導などの他に、歯間ブラシやフロスのおすすめなどをしてくれることもあります。
PMTCは、国家資格所有者である歯科衛生士によるプロのクリーニングです。歯に疾患があると診断されると治療目的になるため、保険が適用されます。
プロのクリーニングでは、家庭でのセルフケアでは落としきれない磨き残しのプラークを中心に、全ての歯を掃除し磨き上げます。
歯垢や歯石を専用器具で落としたあと、デンタルフロスや歯間ブラシによる歯間の掃除を行うことで、口腔内の虫歯菌や歯周病菌が減少し、口内環境が整います。
フッ素は歯の表面を強化するミネラルの一種で、虫歯予防に効果があり、歯を丈夫にして歯の再石灰化も促します。
歯科医院ではフッ素濃度が高いものを塗布しますが、定期的な塗り直しが必要であるため、やはり3ヶ月に1度の頻度で受けるのが効果的です。
虫歯や歯周病がない場合の定期検診は自由診療になりますが、2020年4月に行われた診療報酬改定によって、予防のための歯科治療が一部保険適用となりました。
歯科医院の定期検診の費用については、相談してみましょう。
上述の歯科検診の内容で紹介したのは保険診療の場合で、費用は3割負担で約3,000〜4,500円程度ですが、自由診療になると6,000〜10,000円となり、内容も医院によって違います。
定期検診の費用と治療費を比べると、例えば虫歯治療1ヶ所につき事前処置と被せ物を合わせて保険診療で7,000円程度はかかりますが、定期検診は上述の通り1回につき3,000〜4,500円程度です。
例えば、早期発見できず手遅れになることで全身に疾患が及んだ場合の生涯医療費を考えると、保険診療で歯科検診を受けて予防する方がコストカットになります。
無駄な費用や時間をかけず、痛い思いをしなくても済むように、定期的な歯科検診を受けましょう。
歯医者の定期検診の頻度について、さまざまなメリットやデメリット・検診の内容なども含めて紹介しました。
2024年3月に発表した厚生労働省の「歯科口腔保健の推進に向けた取組等について」では、過去1年間に歯科検診を受けた人の割合は50%を超えています。
予防の大切さが広く周知されてきている証拠といえるでしょう。
名古屋市緑区のこじまデンタルクリニックでは、予防歯科である3ヶ月に1回の定期検診をおすすめしています。
紹介したプロのクリーニング『PMTC』を行い、普段のケアでは落とせない虫歯や歯周病の原因をしっかりクリーニングします。
セルフケアとプロフェッショナルケアの二人三脚で、怖い歯科疾患を予防していきましょう。
24時間受付のWeb予約、電話予約も承ります。
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