歯と口の相談室
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歯周病になりやすい人の特徴10選!歯周病は遺伝する?歯磨き粉で治せる?
歯周病になりやすい人には、いくつかの共通点があります。本記事では、歯周病になりやすい人の特徴をまとめています。歯周病対策や遺伝との関係も解説しているので、歯周病でお悩みの方はぜひ最後までお読みください。
歯周病とは?

歯周病とは、歯ぐきや歯を支える骨(歯槽骨)などの歯周組織に炎症が起こる病気の総称です。虫歯と並ぶ代表的な口腔疾患であり、成人の歯を失う主な原因の一つとされています。
初期段階では歯ぐきの腫れや出血などの症状がみられ、進行すると歯を支える骨が溶けたり抜けたりする原因にもなります。歯周病は自覚症状がないまま進行することが多く、気づいた時にはすでに重症化しているケースも少なくありません。
歯周病と虫歯の違い
歯周病と虫歯はどちらも口の中で起こる病気ですが、原因や進行の仕方が大きく異なります。
| 歯周病 | 虫歯 | |
|---|---|---|
| 原因 | 歯垢(プラーク)内の細菌による歯ぐきの炎症 | プラーク中の細菌が糖から産生する酸 |
| 発生部位 | 歯ぐき・歯槽骨など歯を支える組織 | 歯そのもの |
| 症状 | 出血・腫れ・口臭・歯のぐらつき | しみる・痛い・穴があく |
| 進行 | 自覚症状がほとんどなく静かに進行する | 進行すると痛みが出やすい |
虫歯は歯そのものが溶ける病気であるのに対し、歯周病は歯を支える土台が壊れていく病気です。実際には歯周病と虫歯が同時に進行するケースが多く見られます。
歯周病の見た目
歯周病は進行度によって見た目の特徴が異なります。
- 【初期】
-
- ●歯ぐきが少し赤くなる
- ●歯磨きで血が出る
- ●軽い腫れやむずがゆさ
- 【中等度】
-
- ●歯ぐきの腫れが目立つ
- ●口臭が気になる
- ●歯ぐきが下がり、歯が長く見える
- ●歯と歯の間に食べ物が詰まりやすい
- 【重度】
-
- ●歯ぐきが大きく下がる
- ●歯がぐらつく
- ●膿が出ることがある
- ●噛みにくさを感じる
歯周病は痛みが出にくいため、セルフチェックでは見た目の変化をじっくり観察します。以前より歯が長く見えたり歯ぐきのラインが下がってしまうのは、歯肉退縮と呼ばれる歯周病のサインです。
歯周病になりやすい年齢
歯周病は年齢とともに増加傾向がみられる病気です。厚生労働省の調査によると、35歳以上では約8割の人に歯周病(歯肉炎・歯周炎を含む)の所見があるという結果が報告されています。
特に中高年で増えやすい理由として、次のような要因が考えられます。
- ●長年のプラーク蓄積
- ●加齢による免疫機能の変化
- ●歯ぐきの退縮やセルフケアの難しさ
- ●生活習慣病の増加など
年齢によるリスクはありますが、年齢が高い人だけの病気というわけではありません。不規則な生活やストレス、歯科矯正後のケア不足などにより、20〜30代でも歯周病や歯肉炎を発症するケースもあります。
日本人に歯周病が多いといわれる理由
欧米に比べて日本では歯周病にかかる人が多いといわれている理由には、口腔トラブルに対する考え方の違いがあげられます。
日本では、歯医者は「虫歯になってから行く場所」という意識が根強いのに対して、欧米は予防のために定期受診をするのが一般的です。歯周病は自覚症状が少ないため、普段の生活では見逃されやすい傾向があります。
近年は日本でも予防歯科への関心が高まり、定期受診率は年々向上しているものの、定期受診が十分に浸透しているとは言えないのが現状です。
歯周病になりやすい人の特徴10選

歯周病になりやすい人には以下の共通点があります。
- ●喫煙習慣がある
- ●全身疾患がある(糖尿病・高血圧など)
- ●ブラッシングが適切でない
- ●歯並びが悪い
- ●歯ぎしり・食いしばりをする
- ●口呼吸をする
- ●降圧剤・抗てんかん剤・免疫抑制剤を服用している
- ●妊娠している
- ●慢性的なストレスがある
- ●不規則な生活をしている
それぞれの特徴を詳しく解説します。
喫煙習慣がある
喫煙は歯周病の大きなリスク要因の一つです。タバコに含まれるニコチンには血管収縮作用があるため、喫煙によって歯ぐきの血流が低下し、炎症に対する免疫機能が弱まりやすくなります。
歯周病の発症リスクを高めるだけでなく、治療後の改善に時間がかかる可能性も指摘されています。
全身疾患がある(糖尿病・高血圧など)
歯周病は口の中だけでなく、全身の健康と深く関係していることがわかっています。特に関連が深いとされるのは以下の疾患です。
- ●糖尿病
- ●高血圧
- ●心疾患
- ●脂質異常症
- ●肥満
- ●骨粗しょう症など
特に注意したいのが糖尿病で、血糖コントロールが悪いと歯周病が悪化しやすく、反対に歯周病の炎症が血糖値に影響を与えることも明らかにされています。
ブラッシングが適切でない
歯周病予防では、歯磨きの回数を増やすことよりもどれだけ丁寧に磨けたかが重要です。
歯と歯の間や奥歯、歯と歯ぐきの境目は磨き残しが多くなりやすい部位です。しっかり磨こうと力を入れすぎると歯ぐきを傷つけてしまい、かえって歯周病リスクを高めることがあります。
歯並びが悪い
歯並びが乱れていると、歯が重なる部分に歯ブラシが届かず、磨き残しが残る原因になります。磨き残しが蓄積されると歯周病のリスクが高まります。
部分的に歯が欠けていたり、抜けたままになっている状態も注意が必要です。噛み合わせのバランスが崩れ、特定の歯に負担が集中しやすくなるためです。
歯ぎしり・食いしばりをする
歯ぎしりや食いしばりは、歯や歯周組織に強い力を加えてしまいます。強い力が繰り返し加わると歯ぐきや歯槽骨にダメージが蓄積し、歯周病を悪化させる要因になることがあります。
歯ぎしりや食いしばりは就寝中に起こりやすいため、意識して治すことが困難です。朝起きた時にあごの疲れや歯の違和感が気になる場合は、一度歯科医院に相談してみることをおすすめします。
口呼吸をする
口呼吸が習慣化すると、口の中が乾燥しやすくなります。唾液には細菌の増殖を抑える働きがありますが、口の中が乾燥するとその作用が低下し、歯周病菌が増殖しやすい環境になってしまいます。
口呼吸以外にも、無意識に口が開いている方や朝起きると口が乾いているという方は注意が必要です。
降圧剤・抗てんかん剤・免疫抑制剤を服用している
一部の薬剤は、歯ぐきが腫れる副作用(薬剤性歯肉増殖)が出ることがあります。以下は薬剤性歯肉増殖の副作用が報告されている薬剤です。
- ●降圧剤(一部のカルシウム拮抗薬など)
- ●抗てんかん薬
- ●免疫抑制剤
これらのお薬を服用している方で歯ぐきの腫れが気になる時は、主治医に相談することをおすすめします。
妊娠している
妊娠中はホルモンバランスの変化により、歯ぐきが炎症を起こしやすくなります。これを「妊娠性歯肉炎」と呼びます。ホルモンバランス以外にも、食生活の変化やつわりによって歯磨きが難しくなることも歯周病リスクを高める要因です。
重度の歯周病は早産や低体重児出産との関連が指摘されているため、妊娠中も無理のない範囲で歯科受診を続けることが大切です。
慢性的なストレスがある
ストレスは免疫力の低下や生活習慣の乱れにつながります。免疫機能が低下すると炎症が長引きやすくなり、歯周病菌への抵抗力も弱まりやすくなります。
また、慢性的なストレスは歯ぎしりや食いしばりの原因となり、歯や歯周組織へのダメージによって歯周病を悪化させることがあります。
不規則な生活をしている
睡眠不足や偏った食生活もまた、口腔環境を悪化させる要因の一つです。不規則な生活は夜遅い時間の食事や間食が増え、口腔内の細菌が増えやすい環境をつくります。
忙しい日々が続くと歯磨きの質も低下しやすくなり、歯周病リスクが高まる条件が揃ってしまうのです。
歯周病は遺伝する?

歯周病は細菌による感染症であり、発症には日々のブラッシングや生活習慣など、後天的な要素が大きく関わっています。したがって、歯周病そのものが遺伝することはありません。
ただし、炎症の起こりやすさや免疫反応など、歯周病リスクに関わる体質が遺伝する可能性は考えられます。また、食生活や歯磨きの習慣、歯科受診の頻度などは家族で共通する部分も多いです。細菌が発生しやすい生活環境を共有していると、家族内で歯周病リスクが近い傾向を示すこともあります。
歯周病が手遅れになるとどうなる?

歯周病が進行すると、歯を支える組織が少しずつ破壊されていきます。初期段階では自覚症状がほとんどみられませんが、中等度〜重度では口臭や歯のぐらつき、膿などの症状が現れます。
さらに、歯周病による慢性的な炎症は生活習慣病に関わる可能性も指摘されています。

特に注意したいのが糖尿病です。糖尿病と歯周病は相互に影響し合う関係で、歯周病があると血糖コントロールが悪化しやすく、逆に糖尿病があると歯周病も進行しやすくなることが知られています。
また、歯周病菌や炎症反応が血管に影響を与えることで、動脈硬化の進行や心筋梗塞・脳梗塞などの心血管疾患との関連も報告されています。
その他にも、誤嚥性肺炎や早産、低体重児出産との関係も指摘されており、歯周病は全身の健康と関わる疾患と考えられています。放置すると体の健康にも影響を及ぼすため、早期のケアが必要です。
歯周病が重症化しても、手遅れ(=治せない)ということはありません。症状に応じた治療によって進行をコントロールすることは十分に可能です。
ただし、進行して失われた歯周組織を完全に元通りにするのは難しい場合もあるため、症状に気づいたタイミングで歯科医院に相談することが大切です。
歯周病を防ぐには?3つの予防法

歯周病は誰でもなりうる病気だからこそ、日頃からのケアが重要です。発症リスクを抑えるには次の予防法が有効です。
- ●定期検診を受ける
- ●適切にブラッシングする
- ●生活習慣を改善する
それぞれの方法を詳しく解説します。
定期検診を受ける
歯周病は自覚症状が出にくいため、発症しても気付かず放置してしまうことが多いです。早期に対処するには、セルフチェックと合わせて歯科医院で定期検診を受けることが大切です。
歯科医院では、自分では取り除けない歯石やバイオフィルムの除去、歯ぐきの状態確認など、専門的なケアを受けることができます。プロフェッショナルケアを継続することは、歯周病の早期発見に役立ちます。
予防歯科は3〜6ヶ月ごとの受診が推奨されますが、口腔内の状態によって適切な間隔は異なります。歯周病が進行している場合や、糖尿病など全身的なリスクが高い場合には、1ヶ月ごとに受診しスケーリング(歯石除去)を行うこともあります。
定期検診の頻度は歯科医師と相談しながら、自分に合ったペースで続けていきましょう。
適切にブラッシングする
毎日の歯磨きは歯周病予防の基本です。歯と歯ぐきの境目にブラシの先端を差し込むようなイメージで、小刻みにブラシを動かすと磨き残しを予防できます。
歯ブラシだけでは歯と歯の間の汚れを十分に落とすことが難しいため、フロスや歯間ブラシなどの補助清掃用具を取り入れることもおすすめします。
生活習慣を改善する
歯周病を予防するためには、日々の生活習慣を整えることも大切です。
食事は時間を決めて、だらだら食べをしないよう意識しましょう。食後は歯磨きを習慣化したいところですが、外出先などで難しい場合は口をゆすぐだけでもOKです。
体の免疫力を維持するには、質の高い睡眠も欠かせません。疲れている時こそ十分な睡眠時間を確保して、体をしっかり休ませてあげましょう。
適度な運動はストレス発散に効果的です。全てを完璧にこなそうとせず、無理なく始められることから取り組んでみてください。
歯周病は歯磨き粉で治せる?
歯磨き粉だけで歯周病を治すことは困難です。歯周病は歯ぐきの炎症や歯周ポケット内の細菌が関わるため、歯科医院での検査と歯石除去などの処置が必要になります。
もっとも、歯磨き粉はプラークを落とすセルフケアの質を高める補助的な役割を担います。歯磨き粉の成分によっては口腔環境の改善を後押しできる場合があるため、フッ素や殺菌成分などが配合された製品を選ぶことをおすすめします。
まとめ

歯周病になりやすい人には、喫煙やブラッシング方法、生活習慣、体質などさまざまな要因が関係しています。複数の要素が重なると、歯周病リスクはさらに高まると考えられています。
歯周病は予防できる病気です。日々のセルフケアに加え、歯科医院で定期チェックをすることは将来の歯の健康を守ることにつながります。「歯周病かも?」「歯ぐきの違和感や出血が気になる」と思ったら、早めに歯科医院で相談してみましょう。
こじまデンタルクリニックでは、どなたでも安心して受けられる歯科治療を行っております。患者様一人ひとりの全身状態に合わせて柔軟に治療計画を変更いたしますので、歯周病でお困りの方はお気軽にお問い合わせください。
監修者情報
こじまデンタルクリニック 院長
小島 好博
口腔外科出身の経験を活かし、乳児からご高齢の方まで幅広い世代のお口の健康をサポートしています。歯科用CT・マイクロスコープなどの先端設備を導入し、患者様一人ひとりのお話を丁寧にお聞きしたうえで、最適な治療計画をご提案することを大切にしています。
経歴
- 2010年:藤田保健衛生大学病院(現:藤田医科大学)臨床研修歯科医師
- 2012年:藤田保健衛生大学病院(現:藤田医科大学)歯科口腔外科 研究生
- 2012年:成田記念病院歯科口腔外科 常勤勤務
- 2014年:藤田保健衛生大学病院(現:藤田医科大学)歯科口腔外科 客員助教
- 2016年:成田記念病院歯科口腔外科 医長
- 2018年:こじまデンタルクリニック 開業
- 2022年:医療法人つむぐ設立
資格
- ・日本口腔外科学会 認定医
- ・日本歯科麻酔学会 認定医
所属学会
- ・日本口腔科学会
- ・日本有病者歯科医療学会
- ・日本睡眠歯科学会
- ・日本口腔外科学会
- ・日本歯科麻酔学会
- ・障害者歯科学会