「歯が急に痛み出して、歯科医院を受診してみたらある程度進んだ歯周病だと言われた」という話を聞いたことはありませんか?
歯茎に腫れや痛みが起こっている場合、歯周病が進行している可能性があります。
この記事では、歯周病がズキズキと痛むときの対処法や、なぜ急に痛み出すのか、歯科医院の痛みに対する処置、NG行為などを紹介します。
歯周病でズキズキ痛いのは、炎症を起こした患部に血液や膿などの体液が流れ込んできているためです。
血流を抑制するか、炎症の元に対処することで痛みを抑えることができます。
歯周病でズキズキ痛む際の対処法を紹介します。
痛いところを冷やすと血管が収縮し、血流を抑えられ腫れが引きやすくなるため、痛みを和らげられます。
ただし、氷を口に含んで直接患部にあてると患部に刺激を与えてしまい、逆に悪化してしまう危険性があります。
冷たい水で濡らしたタオルで氷を包んだものや、アイスパック・冷却シートなどを頬や顎の上からあてて冷やしましょう。
なお、冷却はあくまでも一時的な処置です。痛みが治まっても良しとせず、後日必ず受診してください。
まだ歯周病の治療を開始していないため処方された痛み止めを持っていない場合は、市販の痛み止めでも効果はあります。
歯周病の痛みに効く市販薬の一例は以下の通りです。
市販の痛み止め | 有効成分 | 効くまでの時間 |
---|---|---|
・イブA錠 ・バファリンプレミアムDX ・ノーシン |
イブプロフェン | 1~2時間以内 |
・バファリンプレミアムDX ・タイレノールA |
アセトアミノフェン | 30分~1時間程度 |
ロキソニンSプレミアム | ロキソプロフェン | 15~30分程度 |
しかし、歯周病が悪化して神経に強い炎症が起こると痛み止めも効かなくなる場合があり、さらに放置すると神経が死んでしまいます。
なるべく早めに歯科医院を受診しましょう。
歯磨きも効果的です。歯茎が腫れている場合は刺激しないよう気をつけて歯をブラッシングしましょう。
歯周病の原因である歯垢は細菌の塊で、炎症の原因でもあるため、取り除くことで炎症が治まり痛みが引く場合があります。
歯ブラシや歯間ブラシでは歯垢を落としきれないため、合わせてデンタルフロスや糸ようじを使用すると効果的です。
つまようじを使用すると歯茎を傷つけて痛みが増す可能性があるため控えましょう。
歯周病が痛むときは、歯磨きの他に殺菌効果のあるうがい薬も使用しましょう。刺激の少ないアルコールフリーのものがおすすめです。
歯茎が腫れていたり重度の歯周病で歯根が露わになっていたりする場合は、歯ブラシをあてると痛い場合があります。
歯ブラシで磨けない部分がある場合や、歯ブラシと併用して届かないところなどをきれいにしたいときに有効です。
歯周病で痛みがある場合、就寝時に横になる際は頭部をやや高めにして、血流が集まるのを防ぎましょう。
夜眠るときは身体を横にするため、患部に血液が集まりやすく、昼間よりも痛みを強く感じます。
就寝前は歯磨きを丁寧に行いうがいもして、痛み止めを飲むのも効果的です。
睡眠時間が足りないと免疫力が低下して痛みが増す可能性もあるため、十分に睡眠をとることが大切です。
歯周病は年齢に関係なくかかる可能性がある病気で、特に40歳を過ぎると約8割がかかると言われている国民病です。
歯周病とはそもそもどのような病気なのかを詳しく紹介します。
歯周病は自覚症状がないため『サイレントディジーズ(沈黙の病気)』ともいわれ、静止期と活動期を繰り返し、階段状に悪化していく特徴がある感染症です。
口の中の常在菌である歯周病菌は、歯磨き不足や不規則な生活・喫煙やストレスなどをきっかけに歯周病を発症するため、生活習慣病ともいわれています。
そして、初期症状から炎症と出血を引き起こします。歯を磨いていて痛みもないのに血が出るのは、歯周病のサインの一つです。
しかし進行していく間、歯周病菌が出す毒性物質が痛みの伝達物質(炎症物質)を出させないようにし、さらにそれを受け取って脳に伝える受容体も破壊してしまうため、痛みが脳に伝わりにくくなります。
また、通常は炎症によって集まった血流で内圧が上がり神経を圧迫するため痛みを感じますが、歯周病は歯周ポケット内部から出血しているため内圧があがりません。
そのうちに手遅れ手前まで進行すると、頻繁に歯茎が腫れたり膿が溜まったりして内圧が上がるようになり、痛みが生じます。
様子を見ていて治るような病気ではないため、早めに適切な治療を受け、進行を食い止めながら付き合っていくことになります。
歯周病でズキズキするのは炎症が起きて歯茎が腫れたり、膿が溜まっていたりするときで、主に中等度以降に見られる症状です。
歯周病は以下のような段階を経て進行していきます。
拍動に合わせて痛むためズキズキします。本格的に痛みだすのは重度になってからのため、ズキズキしたら様子を見ずにすぐに歯科医院を受診しましょう。
虫歯と歯周病では、痛み方に違いがあります。
虫歯は歯の神経に直接影響し、熱いものや冷たいものに触ったり噛んだりしたときなどにズキっとしたり、慢性的にジンジンするなど、さまざまなケースがあります。
しかし強い痛みの際の強度は歯周病より強く、我慢できずに受診することが多くあります。
対して歯周病は歯茎の腫れやむくみ、出血などの炎症症状が先に見られ、歯周ポケットが深くなったり歯茎が下がったりという見た目の変化も先に現れます。
痛みがないまま進行し、歯茎に膿が溜まって大きく腫れたときに、我慢できない痛みが現れます。
歯周病と虫歯は痛みや症状にこのような差がありますが、患者さんが自分で判断することは難しいため、痛みがなくても出血や腫れなどの違和感があったら速やかに受診しましょう。
歯周病がズキズキと痛む急性期の場合、歯科医院では中等度歯周炎か重度歯周炎に対する処置を行います。
歯周病は急性期の痛みで初めて受診し、そこから治療を始める人が多いのが現状です。
歯周病の急性期の痛みに対する処置と、その後の治療法も併せて紹介します。
歯周病で炎症を起こし痛みが強い場合は、まず症状を抑える抗生物質が処方されます。
歯周病で痛みを引き起こす理由のうちの1つは、プラークや食べものなどの汚れで、歯科医院ではそういった汚れの他に、歯石も取り除きます。
消毒し、歯の負担を減らすため噛み合わせの調整を行い、ひとまず急性期の治療は終了です。
この処置で、大体3日~1週間ほどで強い痛みは落ち着きます。
歯周病が悪化すると、歯肉や歯槽骨に急激に膿が溜まることがあります。
歯肉がぷっくりと腫れて発赤し、食べ物が触れても痛い状態のため、歯磨きもできず悪循環となるケースです。
膿が溜まっている場合は切開して膿を排出し、感染部位の歯石や歯垢を除去、抗生物質を使用し、炎症を緩和します。
膿を排出すると大分痛みが引きますが、あくまでも応急処置であり、歯周病が治るわけではありません。
歯周病の治療の基本はプラークコントロールですが、中等度や重度の歯周病の場合は歯石が歯周ポケットの奥深いところにあるケースが多いため、歯石除去を行います。
歯茎の上にできた『縁上歯石』は比較的柔らかい歯石のため、スケーリングと呼ばれる一般的な方法で簡単に除去できます。
歯周ポケット内にできた『縁下歯石』は、ルートプレーニングという方法で除去します。
縁下歯石は肉眼で直接見えず、さらに非常に硬く1回では取り切れないため、必要に応じて2〜3回に分けて除去します。
この2種類の方法でも歯石を取り切れなかった場合は、フラップ手術という歯周外科手術によって除去します。
歯周病の治療はどの段階でも、歯科医院での定期的なクリーニングや歯石除去などのプロフェッショナルケアの他に、家でのセルフケアも重要です。
せっかく歯石や歯垢を除去してきれいになった歯に再度歯垢が付かないように自宅でケアします。
しかし、正しいセルフケアを実践していても、歯周ポケットの中についた歯垢や歯石はブラッシングで除去することは難しいため、定期的な歯科検診で効果的にプロフェッショナルケアを受けます。
歯周病は歯のクリーニングが基本治療のため、患者さんも治療の一端を担うといえるでしょう。
クリーニングによるプラークコントロールの他に、中等度・重度の歯周病の治療には、以下のような方法があります。
FMD(フルマウスディスインフェクション)は、抗生物質と口腔内の徹底クリーニングによって再感染を防ぐことを目的とした除菌治療です。
抗生物質を飲んで、24時間以内に口腔内の全部の歯に対してスケーリング・ルートプレーニングを行います。
心疾患の手術前などで感染予防を重視する場合、蜂窩織炎が心配される場合などに行われることがあります。
歯周組織再生療法は歯周病によって失われた歯茎や歯槽骨を再生させる治療です。
歯茎を切開して組織再生誘導剤を中に入れることで欠損していた骨を再生させるため、ぐらついていた歯が安定し、抜歯が回避できます。
歯周組織が健康な状態になるまで長くて1年程かかります。
歯周補綴は重度歯周病の治療で、ぐらぐらして安定しなくなった数本の歯を被せ物(ブリッジ)で連結し安定させる治療法です。
歯周補綴をする前に、必要に応じて歯周外科手術や再生療法・歯科矯正などを組み合わせて行う場合もあります。
この治療により歯が安定し、食べる機能が回復し、プラークコントロールも可能になります。
歯を残すことで他の歯にリスクが及ぶ可能性があれば、抜歯を選択する場合があります。
抜歯したらそれで治療が終わるわけではなく、抜歯した周辺の組織に対する適切な処置や、口腔内の機能回復のための入れ歯やインプラントの選択などが必要です。
歯周病でズキズキ痛む場合、すぐに歯科医院を受診できないとき、以下のようなことを行うと、痛みが増すため避けましょう。
血行がよくなると血流による圧迫によって痛みが強くなるため、入浴や激しい運動は避けましょう。
指や舌で患部を触ると刺激になり、さらに雑菌が入り込むリスクもあります。
飲酒がNGな理由は血流が増えるのもさることながら、お酒に含まれる糖質が歯周病菌の好物のためです。
タバコを吸うと血管が収縮して必要な血液を送れずに回復が遅れるため、できれば禁煙を検討しましょう。
歯周病がズキズキ痛む際の対処法をまとめてチェックしてみましょう。
これらの方法で痛みが引いても一時的なものであり、治療を開始しなければ進行は止められないため、早めの受診が大切です。
名古屋市緑区のこじまデンタルクリニックでは歯周病治療や抜歯後のインプラントや入れ歯の提案、予防のための歯科検診も行っております。
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