顎関節症は顎から音がするようになり、思ったように口が開かなくなったり痛みが生じたりする、顎周辺の筋肉に異常が起こる病気です。
複数ある原因による負担の積み重ねが原因ですが、症状が多岐に及ぶため、診療科に迷う人は少なくありません。
この記事では、顎関節症の原因や症状、顎関節症の診療科はどこか、治療方法や注意点などを紹介します。
生命にかかわる病気ではありませんが、放置するとQOLが低下する病気のため、適切な診療科を受診して治療しましょう。
顎関節症が受診に適しているのはどの診療科なのかを知るために、まずその症状を確認しましょう。
顎関節症の症状と原因を紹介します。
顎関節症は、顎まわりや顎に関する部分の痛みが主症状です。時には左右対称ではなく、片方の顎が痛い場合もあります。
以上は顎関節症の一例です。一つでも該当したら顎関節症の可能性があるため、症状があれば早めの受診が必要です。
顎関節症の原因は一つではなく、まだ原因としてはっきり解明されていないものもありますが、総じて以下のような顎への負担が原因です。
スマートフォンの長時間使用も、無意識に歯を噛み合わせる歯列接触癖(TCH)や、姿勢が悪くなるなど、顎への負担につながります。
中でも、口腔習癖である歯列接触癖は、顎関節症の人の約8割にある癖といわれています。
顎関節症は、普段のこういった癖や習慣によって積み重なる負担が原因の現代病の一つです。
顎関節症は、紹介した主症状の他に、放置していると副症状が現れてきます。
必ずしも顎関節症が原因とは言い切れませんが、上記のような症状が伴う場合は副症状かもしれないため、専門医の診断を受けましょう。
顎関節症は、受診して治療やケアを行うと症状が改善する病気ではありますが、再発する可能性があります。
再発する場合の原因は以下の通りです。
顎関節症は、いわば発症しやすい癖や習慣・置かれる環境によって引き起こされるため、そこが改善されなければ何度も繰り返すことも多い病気です。
習慣や癖はなかなか改善できるものではないため、定期的に通院する・医師の指示に従うなど、医師と協力し合って予防に取り組むことをおすすめします。
顎関節症の診療科は、口腔外科です。
冒頭でも紹介したように、主症状の他にも多彩な症状が見られる顎関節症になると、診療科に迷う人が少なくありません。
顎関節症の診療科について紹介します。
顎関節症の場合にかかる診療科は、口腔外科(歯科口腔外科)と一般歯科のいずれにかかっても診断・治療が可能ですが、一般的には口腔外科です。
口腔外科と一般歯科の違いは以下です。
口腔外科と歯科口腔外科はほぼ同じ診療科ですが、口腔外科はほとんどが大学病院など大きな病院内にある診療科で、紹介状が必要な場合が多いため、歯科口腔外科がかかりやすいでしょう。
また、一般歯科でも顎関節症の診断や治療は可能ですが、診療内容や手術範囲の違い・担当する歯科医師の専門性などが口腔外科とは異なります。
他にも、肩こりや首の痛み・耳の痛みなどの副症状があるため整形外科や耳鼻科を受診する人は少なくありませんが、整形外科や耳鼻科では顎関節症の治療はできません。
顎関節症が疑われる場合、日常生活に支障が出るようになったら、痛みがなくても迷わず口腔外科を受診してください。
顎関節症は一時的な症状のあと、安静にしていれば自然に治る場合もありますが、顎を動かす場面は生活している中で頻繁にあるため、大半のケースにおいて治療が必要です。
口の開きが悪いと口腔内のケアに影響が及び、虫歯や歯周病のリスクも高まります。
不快な違和感を感じたら1週間ほど様子を見て、改善が見られなければ受診しましょう。
口腔外科では顎関節症の他に、以下のような病気を扱います。
口腔外科は一般歯科ではできない親知らずの難抜歯や、事故や病気などで失った顔面の欠損の補綴・インプラントなど、複雑な問題を解決する治療を行います。
一方、一般歯科は口腔ケアや虫歯などの軽度の口腔疾患の治療が専門で、歯科疾患の早期発見と早期治療に注力する、幅広い歯の健康に関わる診療科です。
一般歯科とは役割が違い、一般歯科と口腔外科が連携を取ることで、より幅広い治療が可能になります。
顎関節症はさまざまな副症状がありますが、受診の際はまず口腔外科を受診しましょう。
肩こりが酷くて整体や整形外科に行ったり、耳まわりが痛いということで耳鼻科に行ったりした場合、対症療法で終わる可能性があります。
副症状だけに対処しても、例えば耳が痛いからといって耳鼻科に行っても耳には異常がない場合があり、かといって顎関節症の治療ができるわけではありません。
口腔外科を受診して、他の科での治療が必要な場合には受診を促される場合もあります。
顎関節症が疑われる場合はまず口腔外科を受診し、先に診断結果を確認しましょう。
顎関節症は複数の原因が複雑に絡み合って発生するだけあって、放置すると顎の問題だけではなく、さまざまな影響が全身に現れてきます。
様子を見るのは1週間までにして、症状が改善されないようなら症状が軽いうちに治療を始めましょう。
顎関節症の治療について紹介します。
顎関節症が疑われる場合、以下のような流れで原因を特定します。
問診では症状が現れる背景や生活習慣について詳しく確認します。
この流れで顎関節症との診断をして初めて治療方針を決定・治療開始します。
口腔外科で行われる顎関節症の治療には以下の5種類があります。
初期の顎関節症の治療法は保存療法で、これ以上悪化させないように努め、症状の改善・緩和を目指します。
以下のような療法があります。
顎関節症の治療方法は多くの場合が保存療法で、短くて2週間、長くて3ヶ月程度で症状は改善するとされています。
歯ぎしりや食いしばりが原因の場合、夜間にマウスピースを使用して顎にかかる負担を軽減するスプリント療法があります。
マウスピースは歯と顎の位置を保ちながら、歯ぎしりの衝撃を分散させます。
顎の筋肉をリラックスさせる効果が期待されていて、夜間の歯ぎしりや食いしばりが原因での顎関節症の場合に有効です。
矯正治療は、顎関節症の原因が噛み合わせの悪さの場合、歯列矯正で改善を図る治療法です。
歯列矯正にかかる期間は数ヶ月から年単位程度が必要ですが、根本的な問題を改善できます。
他の治療で効果がなかった重度の顎関節症では、手術が必要になる場合があります。
手術は、関節内の洗浄・人工関節への置換、関節円板の切除などの方法が全身麻酔下で行われます。
顎関節症で手術になるケースはほとんどなく、それ以外の方法で効果が見られなかった場合に必要とされる治療方法です。
ストレスや心理的要因が顎関節症の原因や悪化要因となっている場合は心理療法を行います。
顎の筋肉の緊張や食いしばりなどを引き起こしている心理的要因を取り除くため、カウンセリングをしたりストレス管理の方法を学んだりすることで改善を図ります。
顎関節症の治療として、患者さん自身による家庭でのセルフケアも重要です。
筋肉マッサージや開口ストレッチなどを日常に取り入れる方法や、頬杖やうつぶせ寝など頬に負担をかける姿勢を避ける方法などがあります。
顎関節症は再発しやすいため、セルフケアを習慣にすると効果的な改善が見込めるでしょう。
顎関節症は再発しやすい病気であるため、繰り返さないための注意が必要です。
最後に、顎関節症になった場合に注意してほしい点を紹介します。
顎関節症のNG行為を紹介します。以下のようなことはしないよう注意しましょう。
顎関節症はストレスや姿勢、環境や生活習慣が要因となるため、治療と並行しセルフケアとして普段の生活の仕方に気をつけることが症状の改善につながります。
顎関節症は、悪化すると顎関節が変形して最終的には外科手術にまで及ぶ可能性があります。
逆に、初期では勝手に治る場合があるため、1週間程度は様子をみてもいいでしょう。しかし1週間以上経っても改善がみられなければ受診してください。
顎関節症を放置するリスクは以下の通りです。
最初の内は軽度のためつい我慢してしまうかもしれませんが、悪化してから治療を開始するより、早めに受診して治療を開始した方がいいでしょう。
顎関節症は口腔外科が専門診療科になりますが、一般歯科でも診断・治療は可能です。
しかし、口腔外科には外科処置の経験が豊富な歯科医師がいることが多く、幅広い治療が行えるため、顎関節症が疑われる場合は口腔外科(歯科口腔外科)を標榜するクリニックを受診するといいでしょう。
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軽度でも重度でも、まずは受診をすることが肝心です。こじまデンタルクリニックにぜひご相談ください。
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